米国の超長期のインフレ率を調べてみたら下記のような推移となっていた。現在のインフレ率は1970年代ぶりの水準であり今の現役世代の大半は経験したことがない水準である。
1872年からの超長期のインフレ率を示したものである。まず前半の1920年頃まではインフレ率が推移がめちゃくちゃである。つまり通貨の価値が安定しておらず、インフレ率が高くなったと思ったら、一気にデフレになっており非常にボラティリティの激しい形となっている。
潮目が変わるのは1913年の物価の安定も目的としたFRBの設立である。設立後は2回の世界大戦に伴うインフレ、1930年代の世界恐慌によるデフレ、オイルショックといったものを経験しながらFRBは徐々に物価を安定させる力を備えていったとも言える。
1980年代以降はFRB設立前の変動率から比べればインフレ変動率は非常に小さく、FRBが上手く物価をコントロールできている。
この安定の中で1970年代ぶりの高いインフレ率が突如として現れたから市場はびっくりしている。若い現役世代は経験したことがないためどのように対処していいのか分からないのだ。
過去の超長期の資産価格の推移はどうだったのか以下にまとめてみた。
過去5%超のインフレ時期だったのは1940年代、1970年代、1980年代の3つである。1970年代を除けばS&P500は上手くインフレに対応できている。インフレ対策で株式を保有することが合理的であることは理にかなっている。
恐ろしいのは1970年代であろう。インフレ率7.4%に対してS&P500のリターンは5.9%であり実質リターンはマイナスである。この年代では不動産がもっとも上手くインフレに対応できていた。また短期債、社債の投資もインフレ率には劣るがS&P500に比べればよい投資だったと言える。
では今回のインフレが1970年代型となれば不動産や短期債への投資が有利かと言われると難しい。利上げがされるとは言え足元の金利は低くリターンは見込めない。
不動産価格は1950年代、1960年代が低成長であったことから1970年代に大きなリターンを得たとも考えられる。足元の2020年代の不動産リターンは高すぎるため調整される可能性を考えると投資先としては微妙である。
こう考えれば、やはり無難な選択肢としてはS&P500への投資となる。長期で見ればインフレ後の各世代(1950年代、1980年代、1990年代)はS&P500のリターンが輝く時代である。そのリターンを得るために安く仕込む時期とも考えられる。
このように考えれば資産形成気の若い投資家が行うべきはS&P500の長期積立投資がもっとも有利であると考える(面白くない結論であるが・・・)。
少し別の角度から分析する。インフレ時の各世代における、グロース株・バリュー株のリターン比較である。
上記の表を見るとインフレ時は基本的にバリュー株がグロース株を打ち負かす時期ということが分かる。2010年代はグロース株がバリュー株を圧勝した時期であり、ハイテク株や高成長株が人気を集めた時期である。今の若い投資家(ジョーカーも含めて)はこのグロース株有利の時期しか知らない。少し長期的な目線を持てば、バリュー株の比率を上げることでインフレ時のリターンをあげることができるかもしれない。
最後に最近絶好調のバークシャーハサウェイのチャートをのせておく。個別株でバリュー投資が分からない人はバークシャーハサウェイ買っておけばいいと思う。