どうも ジョーカーです。
本日は「のれん」についての記事です。
「のれん」とは
のれんはM&Aをした企業に現れる資産科目です。資産と言っても形があるものではなく無形資産に分類されます。よく買収企業のブランド価値等を表すといわれているものです。被買収企業の簿価上の評価=純資産と実際の買収価格には乖離があるもの普通です。特に成長著しい企業を買収する際には簿価でが計測できない価値があります。この簿価では計測できない価値がM&Aをすることで買収側の企業の資産計上されます。この計上のされ方が「のれん」というものです。
簿価では計測できない価値なので形があるものではありません。つまり無形資産に分類されます。
クラフトハインツの「のれん」
以前、バフェット銘柄のクラフトハインツについての記事を書きました。クラフトハインツはブランドの減損処理で多額の損失計上しました。
クラフトハインツは買収や合併により生まれた企業です。当然、様々なブランドの商品を買収してきました。その際に「のれん」が計上されています。
「のれん」は決算のタイミングで本当に価値があるのか?という監査を受けます。そして合格すれば「のれん」として財務諸表ののるわけです。
しかし、監査法人が、この「のれん」は価値がありません、と評価すれば資産として計上できずに、損失として落とす必要がでてきます。
これがクラフトハインツでおきた出来事です。
クラフトハインツの所有していたブランドが、監査法人から「そんなに収益があがっていないブランドだな」と評価を受け、監査法人が評価したブランド価値までのれんお価格を下げたというのが前回の減損処理です。
下の表はクラフトハインツの財務諸表の一部です。青いところは、「のれん」と無形資産です。総資産1,036億ドルに対して「のれん」と無形資産が859億ドルあります。
減損処理をしたため減少はしていますが、総資産に占める無形資産の割合は83%です。
形のない資産が80%超の企業、それがクラフトハインツだったのです。
銀行や投資家から集めたお金はクラフトハインツというブランド価値を守るため、もしくは新しいブランドを手に入れるための費用として使っちゃったというべきでしょう。
それでも業績が伸びていれば問題ないのですが、クラフトハインツのようにブランド評価に変化が生じた際に監査法人からのテロ攻撃によりいきなり大損失の決算発表となるのです。
Kraft Heinz Reports Fourth Quarter and Full Year 2018 Results | The Kraft Heinz Companyyより
大型M&Aをする企業は気をつけろ
最近は大型買収が多いです。ジョーカーがかつて保有していた銘柄ですと米国薬局チェーンのCVSヘルス(ティッカー:CVS)が医療保険エトナを買収することを決めています。
アマゾンからのプレッシャーにより薬局だけではやっていけないと判断した経営陣が伸びている医療保険分野の企業を買収したのです。
このような企業には当然たっぷりの「のれん」が計上される予定です。もしエトナが今まで通り成長していけば問題ないのですが、想定よりも成長が遅い場合、減損処理による大赤字に陥る可能性があります。
従って大型買収を行う企業は気をつけたほうがいいでしょう。
ちなみに直近の決算でCVSは別の買収案件の「のれん」の減損処理を行っています。過去行ったM&A案件では楽観的なシナリオにより買収価格を見積もった結果、買収した事業が下振れし、減損となりました。
今回のエトナは大丈夫でしょうか?楽観的シナリオで買収していないか?一度減損をした企業は、恐らくまたします。GEのように・・・。
決算発表後CVSは売られました。バリュー投資家としてはエントリーを検討してもいい水準とも言えます。しかし、「のれん」の問題はあることは頭に入れておいたほうがいいでしょう。