どうもジョーカーです。
本日はクラフトハインツと加工食品業界について書きます。
ブランドの減損処理のためクラフトハインツは赤字へ
大手食品メーカーでありバフェット銘柄でもあるクラフト・ハインツ(ティッカー:KHC)が暴落しました。バフェットの保有比率で言えば28億ドルの損失です。
21日の米株式市場の時間外取引で、米食品会社クラフト・ハインツの株価が急落。傘下の有名ブランドの一部を含む資産の減損処理費用として154億ドル(約1兆7000億円)を計上したことが響き、2018年10-12月(第4四半期)決算は赤字となった。同社の象徴的ブランドの一部が、消費者の嗜好(しこう)の変化で価値が大きく落ち込んでいることを認めた形だ。
クラフト株は時間外取引で一時18%下落。22日もこのままなら過去最安値となる。「クラフト」や「オスカーマイヤー」の商標といった資産ののれん代償却に加え、期待外れな10-12月期決算や米証券当局から召喚状を受け取ったことが嫌気された。
10-12月期の純損益は126億ドル(1株当たり10.34ドル)の赤字。調整後の1株損益は黒字だったが、最も弱気なアナリスト予想に届かなかった。クラフトは決算資料で、調達慣行に関する調査を巡り米証券取引委員会(SEC)から書類提供を求める召喚状を昨年受け取ったと公表。社外弁護士の協力で行った調査の結果、売上原価を2500万ドル増額修正したことも明らかにした。
同社は四半期配当を1株当たり40セントに引き下げた。従来は62.5セントだった。同社の配当性向は米加工食品業界で最も高かった。
クラフト・ハインツ株、時間外で急落-多額の減損費用で10~12月赤字 - Bloombergより
クラフトハインツの資産推移
下のグラフはクラフトハインツのバランスシートの資産部分だけの推移を示したものです。
*絶対値ではなく比較しやすいよう割合になっています。
ジョーカーも減損処理のニュースを見てからこのグラフを見たのですが、まず大半を占める無形固定資産が気になります。これはブランド買収に伴うのれんですが、今回この資産を減損処理したと思われます。多額の無形資産が計上されている企業は要注意です。
KHC The Kraft Heinz Co Stock Quote Price | Morningstarのデータを加工
負債及び純資産の推移も併せて載せておきます。
加工食品メーカーはどこも苦戦している
そもそも加工食品業界はどこも苦戦しています。2006年からのS&P500とクラフトハインツ(KHC)、モンデリーズ・インターナショナル(MDLZ)、ゼネラルミルズ(GIS)、ケロッグ(K)キャンベルスープ(CPB)の5社のチャート及びリターンの比較です。
S&P500:+37%
KHC:-26%
MDLZ:+17%
GIS:-8%
K:-10%
CPB:-24%
どの企業もS&P500を下回っています。クラフトハインツの不調は個別要因ではなく業界的に困難な状況にあるものと考えられます。
加工食品業界の逆風
①消費者の嗜好の変化
消費者は加工食品よりもより健康的でフレッシュな食材を求めています。昔はたっぷりと砂糖や化合物が入った食品が好かれていましたが今では自然なものが好まれます。
②スーパー等のPB商品との競争
これは日本のスーパーでも同じです。加工食品はPB商品が入りやすいです。例えばカルビーのポテトチップスの隣にPBの少し安いポテトチップスが売られています。ケチャップもそうです。ブランドの商品の隣にそんなにかわらない商品が安く売られていたら商品者は安いほうを選ぶでしょう。
今小売り業者は合併して調達力を高めています。日本でもイオンがどんどん大きくなっています。PB開発は得に注力しており、成長しているようです。これは加工食品メーカーにとっては厳しい状況と言えます。
③インターネットの発達
ネット環境が発達したことですこしひねったニッチな加工食品が売りやすくなりました。消費者は同じような食品ではなく、ニッチな食材を求めています。スーパーにあふれている同じ食材には飽きているのです。
例えば日本でもよなよなエールが流行りました。これは大手ビールメーカーが苦戦している中で少し変わった商品を求めた消費者とニーズが合致したからです。
最後に
クラフトハインツは暴落したので投資経験の浅い投資家は今が買い時!と考えるかもしれませんが、今は近づかないほうがいいです。落ちるナイフを慌てて拾う必要はありません。昨年のGEのように下がる銘柄はさらに下がります。下げ止まりをしっかり確認してからエントリーしたほうが火傷せずに済みます。
そもそも加工食品業界は構造的に厳しい業界だと考えています。特にPBとの競争は今後も続くと思います。小売もそこまで儲かる業種ではないのでPB等でコスト削減と競争力を維持できなければ淘汰されてしまします。この流れに食品業界も巻き込まれているのです。
同じ加工食品メーカーのゼネラルミルズ(GIS)の記事です。