本日は創業150年以上の超老舗塗料メーカーのシャーウィン・ウィリアムズについて書きます。
塗料業界は参入が難しい業界
新規参入が難しい理由は以下の通りです。
- 原料が原油価格の変動を受けるため利幅の確保が難しい
- 顧客は細かい要望を要求してくるため多種多様の商品を取り扱う必要がある。そのため利益率を高めにくい。
- 塗料は重いため輸送コストが高い。そのため消費地から近くに拠点を設ける必要がある。
上記ので新規参入が難しいですが、逆に言えば既存の企業は新規参入の脅威を受けずに事業を行うことができます。
塗料メーカーのシェア→M&Aによる成長が可能な業界
次にメーカー別のシェアについてです。世界の塗料メーカーシェアはトップ10で55%です。日本では日本ペイントや関西ペイントがランクインしています。
まだまだ小さな塗料メーカーが頑張っている市場です。これは新規参入が難しい業界のため、小さくても事業継続が可能であることが理由です。大手企業はM&Aによるシェア拡大を目指しています。
コーティングの用途→成長見込めるが不景気には利用は減少
SHWの事業成長のアクセルは5つあります。
- 新規建設
- リフォーム
- 橋、高速道路等のインフラ
- 工場
- 自動車関連
景気動向に影響を受けそうなラインナップです。生活必需品セクターのように不景気でも一定の需要が確保できるとは言えません。従って景気後退時には売上の減少は避けられないでしょう。
上のグラフは2008年からの売上と利益、利益率の推移です。
リーマンショック後2009年、2010年は2008年の売上を下回っています。営業利益では2008年の利益を上回ったのは2012年です。景気動向の影響を受ける企業だと分かります。
2017年6月にバルスパーを買収しているため、2017年12月期は大きく増収となりました。また2018年12月期は通期での合併効果があり増収でしたが、利益は減益となりました。
株主還元には積極的+連続増配40年の実績
EPS、1株利益は綺麗に右肩あがり。40年連続増配でもあります。最近では30%超の増配を発表しました。株式数も減少傾向であり株主還元には積極的な企業です。
SHW: Dividend Date & History for Sherwin Williamsより
次はキャッシュフローを見ていきます。設備投資は大きくない業種のようです。塗料ってたしかにイノベーションはなさそうですよね。稼ぎまくったキャッシュで配当+自社株買いによる株主還元を行い、またM&Aで成長していくことができます。
シャーウィン・ウィリアムズは優良企業です。業界的にも新規参入は難しく、M&Aによる成長も期待できます。リーマンショック時には業績の回復に時間がかかりました。しかし景気循環株のように赤字になってしまうことはないでしょう。この安定したキャッシュフローを株主還元にあてているため過去のリターンは非常に高いです。長期保有にいい銘柄だと思います。