この記事で説明すること
- 過去7回の景気後退前の全てで逆イールドが発生
- 逆イールド発生から1年半から2年後に景気後退が起こっている。
- 景気後退の半年から1年前には株式相場は下がっている。
- 今後はボラティリティが高い相場が続く
- 最後のひと上げもやってくる可能性あり。安易に相場にのるべからず
本日は逆イールドについての記事です。20日の米国市場で短期利回りが長期利回りを上回る逆イールドが発生しました。
これは景気後退の前兆と呼ばれる現象です。投資家は過去の歴史的な事実を認識したうえで今後の相場に臨む必要があります。
逆イールドとは
逆イールドとは短期金利が長期金利を上回る状態をいいます。通常、金利は短期金利が低く、長期の金利は高くります。この状態を順イールドといいます。
今回は3か月金利が10年物金利を上回る状態になりました。
下のグラーフはイールドカーブは期間ごとの金利を示すイールドカーブです。
青色は直近のイールドカーブです。5年物金利が最も低い状態になっており、異常な形になっています。
2017年から2018年、現在と時間が経過するにつれてイールドカーブのフラット化が読み取れます。
https://www.gurufocus.com/yield_curve.phpより
逆イールドはなぜ景気後退の前兆とされるのか
過去7回の景気後退期が起こる前には100%逆イールドが発生しています。これは逆イールドが景気後退の前兆と言われる理由です。
逆イールドが発生するプロセルを説明します。
まず金利は以下のように決まります。
- 短期金利:FRBが調整
- 長期金利:市場が決める
短期金利は非常に分かりやすいです。FRBが利上げをすれば金利は上昇し、利下げをすれば金利は下がります。FRBは最近まで利上げを行っていたため、短期金利は徐々に上昇していました。
長期金利については市場の売買できまります。市場が債券を買いと判断すれば債券価格は上昇し、金利は下がります。
株式と債券は競合するため、株式が危ない(=今後景気は悪くなり、企業利益は悪化する)と考えられれば債券が買われて金利が下がります。
逆に株式に楽観的な見方が広がる(=今後景気が良くなり、企業利益は増大する)と考えられれば、債券は売られて金利が上がります。
市場は今後の景気に対して楽観的な見方はしていないため、金利の上昇は起こっていません。FRBの利上げにより短期金利が上昇するのに対して長期金利の上昇が起こらずに逆イールドとなったのです。
逆イールド発生から景気後退まで
逆イールドが発生から景気後退まではある程度時間がかかります。
今までの経験では逆イールド発生から景気後退まで18か月から24か月かかっています。そして景気後退の6か月から12か月前が株式市場のピークとなっています。
米国では利下げ予想が広がる
下のグラフは市場が2019年末のFRB政策金利をどのように予想しているかを示す図です。
https://www.cmegroup.com/trading/interest-rates/countdown-to-fomc.htmlより
1ヶ月間前には89%の市場参加者が現状の政策金利と変わらないと予想していましたが、今では変わらないと予想しているのは42%であり、市場参加者の過半数は年末には利下げを実施すると予想しています。
今までの経験としては政策金利は市場の予想と一致しています。
*前回のFOMCで利上げ停止を決めましたが、市場参加者は昨年末から利上げはないと予想していました。
金利低下で株式相場は最後のひと上げとなる
今後の相場としては金利が下がった場合、株式の最後のひと上げが起こる可能性があります。
最後のひと上げは多くの大物投資家が予想しており、今後はボラティリティが高い相場が予想されます。
今までの上昇相場と異なり、次の上昇相場の先は大きな崖となっている可能性が高く、安易に乗ることは厳禁です。