- AT&Tは6%超の高配当銘柄。配当の安全性は比較的高く減配リスクは低い。
- 配当性向は60%未満であり、34年連続増配であることから今後の増配も期待できる。
- 巨額買収が続き債務が1,800億ドルまで増加したことが株価下落の要因
- キャッシュフローは増加している。配当支払い後で100億ドル程度の余剰キャッシュフローあり。この資金で債務圧縮を進めることは可能。
- 債務圧縮により株価が回復すると思われる。
配当利回りと配当性向について
AT&T(ティッカー:T)は米国最大級の通信企業です。競合はベライゾン(ティッカー:VZ)でともに高配当銘柄として知られています。
2社の配当利回り、配当性向、増配年数は下に示す通りです。
現在、配当を求める投資家はAT&Tが魅力的に見えるでしょう。配当利回り6.45%でかつ配当性向が58%と増配の余地を残しています。AT&Tは引き続き高配当を維持できるでしょう。
またAT&Tは連続34年増配している配当貴族銘柄としても有名です。配当貴族の企業は簡単に配当を削減することはしないため安心感があります。
このように配当を求める投資家はAT&Tを購入することで安定した配当収入を確保することができます。
AT&Tとベライゾンの株価推移
この2社ですが最近のパフォーマンスを比較するとAT&Tは正直イマイチです。
上のチャートは2018年からのAT&Tとベライゾンの株価です。青色のベライゾンがプラス15.7%に対してAT&Tはマイナス11.6%です。その差は歴然です。
この株価チャートの違いにより配当利回りの差がでています。
株価下落の原因
この冴えない株価の理由は最近のM&A戦略によるものです。
AT&Tは2014年にディレクTVを買収しました。また最近ではタイムワーナーを買収しています。
この買収は当然のように巨額の借入で賄っており、AT&Tは現在1,800億ドル程の借入を抱えています。
この1,800億ドルという巨額の債務により投資家は将来的な減配リスクや返済能力に疑問を持ち、株価が下落しています。
AT&TはディレクTVやタイムワーナーを買収しておりメディア企業へ転換しようとしています。
これはネットフリックスやアマゾンプライム、ディズニー+、アップルTV+と競合するということです。
最大手のネットフリックスは現金を垂れ流してる状況を考えれば、AT&Tも多額の投資負担が生じ、今後の配当の削減や最悪債務の返済に影響がでるのではないかとマーケットは考えているのです。
AT&Tは過小評価されている可能性あり
現状、マーケットはAT&Tに対して厳しい見方をしていますが、マーケットが常に正しいということはありません。
実際はAT&Tの最近の決算ではキャッシュフローが増加しています。これはタイムワーナー買収による影響が大きいです。
下の図はAT&Tのキャッシュフロー推移を示しています。
2018年は228億ドルのフリーキャッシュフローを計上しています。これに対して配当の支払いが134億ドル計上されています。配当支払い後のキャッシュフローが約100億ドルあるため、この資金で借入を圧縮していく方針です。
この債務圧縮が進めばAT&Tの信用リスクは低下して株価は回復すると考えられます。
6%超の配当をもらいながら株価の回復を待つ戦略は悪くないでしょう。