今回、今の投資環境を勘案したアセットアロケーションを考えていきたいと思います。
比較するのは
- 株60%、債券40%ポートフォリオ
- 株90%、債券10%ポートフォリオ
- 米国株45%、債券24%、米国外株式15%、REIT11%、現預金5%
です。このアセットアロケーションを調査していきます。
バックテストは「Portfolio Visualizer」で行いました。
各アセットアロケーションについて
株60%、債券40%ポートフォリオは一般的なポートフォリオとして採用しました。株式と債券では長期的なリターンは株式が上回るため株式の比率は債券よりも高くなっています。
株90%、債券10%ポートフォリオはバフェット推薦のポートフォリオです。バフェットは相続資産の運用をS&P500に連動するインデックスファンドに90%、短期国債に10%の配分で運用するよう指示しています。
最後にエンダウメント投資のポートフォリオとして米国株45%、債券24%、米国外株式15%、REIT11%、現預金5%を採用しました。
2008年から2018年の10年間の比較
トータルリターンでは株式割合が高いポートフォリオ②が1番です。やはり長期では株式が最も強い資産クラスであることが分かります。
①株60%、債券40%ポートフォリオ(青色):6.26%
② 株90%、債券10%ポートフォリオ(赤色):6.91%
③エンダウメント投資(黄色):5.46%
しかしポートフォリオ②はリーマンショックからの回復では最も時間がかかっていることも考える必要があります。
最大損失は43%と他のポートフォリオと比べ高いです。この期間ではシャープレシオ(変動が少なく効率的なリターンをあげたかどうかの指標。高いほどよい)はポートフォリオ①が最も高いです。この期間は金融緩和が長期化しており金利低下による債券高の影響もあったかと思います。
1998年から2018年の20年間の比較
より長期の時間軸でみた場合どうなるか調査しました。トータルリターンでは
①株60%、債券40%ポートフォリオ(青色):6.35%
② 株90%、債券10%ポートフォリオ(赤色):6.61%
③エンダウメント投資(黄色):6.47%
とポートフォリオ②が最も高いですがリターン差の幅は小さいです。シャープレシオでは引き続きポートフォリオ①が高いです。
1998年はITバブル前の株式市場が高値にあった時なので、その後のパフォーマンスはよくありません。そのため株の割合を高めたポートフォリオのパフォーマンスが悪化したと考えられます。
今の株式市場も割高な水準でありこの時期からの調査は非常に参考になります。
1988年から2018年の30年間の比較
更に期間を延ばして30年の比較です。トータルリターンの比較では
①株60%、債券40%ポートフォリオ(青色):7.75%
② 株90%、債券10%ポートフォリオ(赤色):8.58%
③エンダウメント投資(黄色):7.59%
と再び株式比率の高いポートフォリオ②の優位性がでてきました。シャープレシオはポートフォリオ①が高いです。
1988年からも株式市場が好調であり株式比率の高いポートフォリオのリターンが高くなりました。
調査結果のまとめ
- どの期間でも株式比率の高いポートフォリオ②のリターンが高い。つまり10年以上の期間を考えればバフェットが勧める株式中心のポートフォリオがリターンを高めることになる。
- 短期的なボラティリティを避ける場合、エンダウメント投資のような複雑なポートフォリオよりも株60%、債券40%のシンプルなポートフォリオのほうが効果的。手数料を考えてもシンプルな投資で十分。必要以上の多様化は不要。
- しかし、過去30年は金利が低下傾向であり債券には追い風であったことを考える必要あり。今の低金利環境課では過去のような債券のリターンは得られない可能性あり。つまり債券比率の高いポートフォリオ①は今までのような運用成果とならない可能性が高い。 下のチャートは長期の10年米国債の利回りを示したものです。1981年をピークに長期的にダウントレンドであったことがわかります。
この結果を踏まえてジョーカーはアセットアロケーションの中心を株式としたいと思います。しかし、株式中心のポートフォリオは暴落からの回復に時間がかかります。現時点では急いで株式比率を高くすることはせずに、段階的な投資に留めたいと思います。機会ロスが生じる可能性がありますが、ダウンサイドリスクを抑えた運用を心掛けたいと思います。