ディズニー(ティッカー:DIS)が2019年第1四半期の決算を発表したのでディズニーについて書きたいと思います。
ジョーカーは過去ディズニーへ投資を行っていましたが、現在は保有していません。優良企業であることは間違いないのですが、ケーブルテレビ関連の減収と成長が見込まれるストリーミング事業でも利益がでる確信を持てなかった(ジョーカーは懐疑的)ので一旦売却しました。
ディズニーの2019年第1四半期の決算について
まず全体感ですが売上は153億ドル(予想151.8億ドル)、EPSは1.86ドル(予想1.61ドル)と予想は上回ることができました。しかし売上横ばい、利益は減益といい内容とは言えないでしょう。
営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローも前年同期で減少しています。
Disney’s Q1 FY19 Earnings Results Webcast - The Walt Disney Companyより
次にセグメント毎の業績を見ましょう。
- メディアネットワーク事業(ディズニーチャンネル等):増収増益
- テーマパーク事業:増収増益
- スタジオ部門(映画):減収減益
- ダイレクトコンシューマー事業(ストリーミング):減収減益(赤字)
米国最大のスポーツチャンネルESPNやディズニーチャンネルを含むメディアネットワーク事業は好調です。またテーマパーク事業も好調でした。この二つの事業はディズニーの主要事業であり、この二つが好調であることは頼もしいことです。
スタジオエンターテイメント事業(映画事業)が今回の減益の主な要因です。映画事業はブランド力を強化してテーマパークやディズニーチャンネルへ誘導するため必要な事業でもあります。
ダイレクトコンシューマー事業(ストリーミング)ですが、赤字です。ジョーカーはこの赤字が気になります。2018年から開始されたESPN+や今後予定されているディズニーチャンネル+への投資負担が重なり赤字となりました。
ストリーミング事業はそんなに儲かる事業ではない
今後のディズニーを語るうえでストリーミング事業は欠かせません。
今年後半には「ディズニー・プラス」が開始される予定です。恐らく多くの加入者が既存事業(ケーブルテレビ等)からストリーミングに流れるでしょう。これはディズニーの事業内で競争しているようなものです。
またそもそもストリーミング事業は儲かる事業ではありません。最大手であるネットフリックスのフリーキャッシュフローはマイナスです。
下のグラフはネットフリックスの営業CF、FCFの推移です。現金が流出していることが分かります。
Growth, Profitability, and Financial Ratios for Netflix Inc (NFLX) from Morningstar.comよりグラフ作成
それでもさらにコンテンツ制作に莫大な資金を投資し続ける戦略をとっています。このネットフリックスに対抗するためディズニーも投資が必要になるでしょう。また他にも競合がいる状況です。
確かにコンテンツ制作はディズニーは歴史があり強みもあります。人気シリーズを持ってるため、より少ない投資で大きなリターンを得られるコンテンツ制作ができるかもしれません。
ディズニーの株価はストリーミング事業のリスクを織り込んでいる
ディズニーの株価です。決算を受けて若干下げています。そんなにいい決算ではなかったからね。
DIS | SharpChart | StockCharts.comより
過去10年間のPERとPSR、株価と1株フリーキャッシュフローの推移を見てみましょう。
まずPERの水準的には過去10年の中では割安なほうになります。
PSRの指標をみれば高値圏で推移ですね。
フリーキャッシュフローの水準では若干割安といったとこでしょうか。
30 Year Financial Data of Walt Disney Co (DIS) - GuruFocus.comより
全体的に成長企業というよりも成熟企業の水準です。長期的にこういう企業に投資したほうがリターンが大きくなるのかもしれないですね。成長の罠はディズニーにはないでしょう。
今後、ストリーミング事業が本格化していくため既存事業が減収していくでしょう。歴史ある企業は事業内容を変革する必要があるためこれは仕方がないことです。
しかしストリーミング事業自体が儲かるビジネスではなかったらディズニーはどうすればいいのでしょうか?
ディズニーにはテーマパーク事業というリアルな体験を提供するサービスがありますが、これだけでは既存事業の落ち込みを補うことはできないでしょう。
少しネガティブに書きましたがディズニーの財務内容は強いです。またブランド力も強力なので長期的に生き残る企業だと思っています。今後、株価が大きく上昇するとすればストリーミング事業の増収スピードが上がるタイミングでしょう。これは加入者の獲得スピードもしくは値上げスピードが予想を上回る時です。そうなればディズニーには是非投資したいと思います。