皆さんエンダウメント投資はご存知でしょうか?アメリカのハーバード大学やエール大学の大学基金は寄付金を運用しています。
これらの寄付金は基本的に返済義務がなく、長期の運用が前提になるため、個人の運用と似た投資環境にあります。
またエンダウメント投資は相対的に高いリターンを得ているという話を聞いたので調べてみました。個人投資家もアセットアロケーションの参考になると思います。
下記リンクでエンダウメント投資のデータがとれます。結構面白いですよ。
802の基金の運用を分析したサイトになります。
NACUBO ← エンダウメント投資のデータがあるサイト
エンダウメント投資家達
下の表は資産規模で上位10位の基金です。1位はハーバード大学です。2位はテキサス州立大学、3位はエール大学となります。
1位のハーバード大学は383億ドルの運用規模になります。1ドル110円換算で4兆2,130億円となります。
規模と基金数、運用額をまとめた表です。エンダウメント投資家は802基金あり、104基金が10億ドル以上の資産を運用しています。
規模別ポートフォリオ
2018年のエンダウメント投資家たちのアセットアロケーションです。基金の規模別に分かれています。資産クラスは左から米国株、債券、米国外株、代替資産(プライベートエクイティ、不動産、ヘッジファンド等)、現預金です。
まず10億ドル以上の資産規模がある基金は代替資産の割合が高い(58%)のが特徴です。資産規模が小さくなるにつれて代替資産の割合が低下しています。代わりに資産規模が小さい基金は米国株への割合が高くなっています。また債券比率も資産規模が小さいほど割合が高くなります。
個人投資家が参考にできるポートフォリオは資産規模が小さい基金でしょう。代替資産は個人投資家ではハードルが高くETFを利用してREITに投資するのが限界ではないでしょうか。ヘッジファンドへの投資はさすがに個人では難しいです。
例えば米国株45%、債券24%、米国外株式15%、REIT11%、現預金5%と比較的シンプルなポートフォリオを作ることができます。
資産規模別のリターン
資産規模別のリターンをみればアセットアロケーションほどに違いがないことに驚きます。特に長期の運用では5.8%から6.1%と非常に狭い範囲に収まっています。
個人投資家に参考になりそうな一番小さな基金の集団でも10年平均5.8%のリターンとなっています。これからヘッジファンド等の難しい投資を行わなくても相応のリターンが得られることが分かります。
データをみた感想
エンダウメントは確かにアセットアロケーションの参考になります。資産額の小さい基金はオルタナティブ投資の割合も低く特に個人投資家がマネしやすい資産配分です。
別にオルタナティブ投資が低くても長期ではリターン水準に差がないことが分かりました。
注意しなければいけないのは過去10年が特殊な投資環境だった場合です。例えば過去10年は米国株のリターンは高く、債券も金利が低下し続けたためまずまずのパフォーマンスです。しかし今後10年では同じようなリターンを得られるかは疑問です。米国株は割高ですし、債券は金利が低すぎます。このような環境ではオルタナティブ投資に資産配分を厚くする基金の気持ちが分かります。
まとめ
個人投資家で様々な資産クラスに分散投資を検討しているのであれば是非一度エンダウメント投資家のポートフォリオを参考にして下さい。特に資産規模が小さな基金が個人投資家には受け入れやすい資産配分です。
2018年は米国株45%、債券24%、米国外株式15%、REIT11%、現預金5%が小さな基金の資産配分となっています。