ジョーカーの資産運用ブログ

米国株・資産運用・家計を中心に書いていきます

PERについての優良記事を共有

SBI証券にてPERについてのレポートがありました。

 

とても分かりやすく勉強になったので共有したいと思います。

 

株価を分解する

「株価=EPS×PER」と、株価はEPSとPERに分解することができます。株価が大きく変動したときに、そのうちいくらがEPSで変動し、いくらがPERで変動したのか、という分析は有用なことが多いです。

というのは、EPSは経済指標で言うと「ハードデータ」に近く、PERは市場参加者の判断に影響を受けるため、「ソフトデータ」に近いのです。つまり、EPSで動いた部分の信頼性は高く、PERで動いた部分は、場の判断が変わると簡単に変化する可能性があると言えます。

ですから、株価上昇の多くの部分がEPSの上昇で説明できる銘柄のほうが、株価上昇の多くの部分がPERの上昇で説明される銘柄よりも、株価の安定性が高いと判断することができます。

 

◯PERを動かす要因
PERが変動する要因は何なのでしょうか?これを考えるために図表2が役立つと思われます。

B式は、株価は将来の配当を現在価値に割り引いたものになるという「配当割引モデル」を単純化して、長期的には配当はEPSに等しいと考えて、「配当」を「EPS」に置き換えたものです。特殊な前提を加えた場合にのみ成り立つもので、大雑把にこんな関係があるという程度でご理解ください。

ここでAB両式を比べると、PERは1/(割引率 − EPS成長率)に相当するものと言えそうです。例えば、割引率が10%でEPS成長率が4%の場合、1÷(10%-4%)で、PERは16.6倍と計算できるという具合です。

この式の「割引率」が、金利水準に関係しています。金利が上昇すると「割引率」は上昇し、分母にある数字ですから、PERは低下することになります。

また、「EPS成長率」も分母にありますが、マイナスの符号がついているため、成長率が高いと分母が小さくなり、PERは高くなるという関係があります。

つまり、成長率の高まりはPERを高め、金利の高まりはPERを下げる、というふうにPERの変動要因になります。

現在の米国市場では、2/2(金)、2/5(月)と急落したきっかけとして長期金利の上昇が取りざたされています。これはPERの水準が金利に影響を受ける実例と言えるでしょう。そこで図表3は、S&P500指数と米10年国債利回りの関係を過去15年間にわたって見たものです。

長期金利が上昇する局面ではPERは低下し、長期金利が低下する局面ではPERが上昇するというのが基本的な関係です。ただ、リーマンショックの08年から、その後遺症が残った13年にかけては、この関係は崩れていました。

しかし、経済の状態が安定していた04年~07年、また、14年以降では概ねこの関係性が成立していることが確認できます。このため、現在の株式市場は、長期金利の動向に非常に神経質になっているのです。

10年国債利回りが上昇を続け、3%を超えるような動きとなると、米国株の調整は続く可能性があります。一方、2/2(金)に付けた2.84%で上昇一服となるのであれば、急落した株価も次第に落ち着いてくると想定されます。

 

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ここで重要な点をまとめます。

  • 株価の上昇要因はEPSの上昇もしくはPERの上昇に分解ができる。
  • 株価上昇要因のうちEPS上昇による株価上昇には安定感がある。逆にPER上昇による株価上昇は不安定。
  • PERに影響を与える要因は金利とEPS成長率。金利下落、EPS成長率上昇によりPERは上昇。金利上昇、EPS成長率下落によりPERは下落。最近の株価下落は金利上昇によりPERが低下したため。

 

業種によるPERの違いの説明

株式投資の経験のある方は、業種により、銘柄により、PERの水準は大きく異なっていることにお気づきでしょう。業種や個別銘柄のPERがどのように決まるのか、探ってみましょう。

PERの水準を決める大原則は、以下の2つと考えられます。
(1)利益の成長性が高いほどPERは高くなる
(2)利益の安定性が高いほどPERは高くなる

(1)は直感的にもわかりやすいでしょう。例えば、以下のようにEPSが年率5%ずつ増えると予想されている会社と同10%ずつ増えると予想されている会社があるとします。

A社:EPSが年率5%ずつ増加  100円→105円→110円→116円→122円→128円
B社:EPSが年率10%ずつ増加 100円→110円→121円→133円→146円→161円

5年目以降の成長率は両社とも同じ水準に落ち着くとして、仮に5年後の予想PERを15倍とすると、A社の株価は128円×15倍の1,920円で、1年目の予想EPSに対して予想PERは19.2倍となります。一方、B社の株価は161円×15倍の2,415円で、1年目の予想EPSに対しては、22.0倍となります。

5%と10%の成長率の差が、19.2倍と22.0倍の予想PERの差になることがお分かりいただけるでしょう。

(2)は、直感的には理解しにくい面があるかもしれません。

図表4の通り、1年後のEPSが100円になる確率が80%、90円または110円になる確率が10%のC社と、同じく100円になる確率が40%、70円または130円になる確率が30%のD社があるとします。

両社のEPSの「期待値」は100円で同じですが、どちらに魅力を感じるでしょうか?130円になる可能性があるならということでD社を好む方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、株式市場では平均的には、利益の安定性が高いC社のほうを高く評価し、つまり、D社よりもC社のPERのほうが高くなる傾向があるのです。これは、株式市場が「変動性の高さを嫌い、変動性が高いものに対してはペナルティを課すから」という説明になります。

以上を踏まえて、実際の業種別のPERについて見てみましょう。

図表5はS&P500指数の24業種の業種指数について、2/2(金)時点の予想PERと過去15年の年平均EPS成長率を並べ、両指標の傾向によって筆者の主観で分類したものになります。市場平均であるS&P500指数のPERは17.8倍、EPSの年平均成長率は6.8%です。

「成長性が高くPERも高め」は(1)の原則の通りで、当たり前ですね。代表的な業種は「ソフトウエア・サービス」で、アルファベット、フェイスブック、マイクロソフトなとが含まれます。尚、この分類で「小売」が高いのは時価総額が大きいアマゾンの影響が大きく、それ以外の銘柄とは乖離があると見られます。

「成長性はさほど高くないがPERは高め」には、大原則の(2)が影響しています。成長性はさほど高くなくとも、安定性が高いためにPERが高く評価される傾向のある業種です。代表的なものは、「家庭・パーソナル用品」です。

シャンプーの銘柄は決めているという方は多いでしょう。消費者が繰り返し買うもので、よく浸透したブランドをもつ企業は、先々まで安定した利益を織り込むことができるため、今年度の予想EPSで評価したPERは高めに評価されると考えられます。安定性が高い利益は高く評価されるのです。

「成長性は高いがPERは低め」にも、大原則の(2)が影響しています。成長性が高いのですから、PERは通常高く評価されるケースが多いはずですが、ここにあげた業種は、市場平均よりも低くなる傾向があります。

代表的な業種は「テクノロジー・ハード・機器」です。この業種では、技術革新が頻繁に起こり、成長していると思ったら、いつのまにか競合にやられていた、ということがよくあったという市場の過去の経験が影響していると見られます。利益に対する市場の信頼性が低い業種ということになります。

「成長性は低くPERも低め」は当たり前ですね。代表的なものは、「銀行」になりますが、この成長率の低さには、リーマンショック後の規制強化が影響していると考えられます。一方、2/3(土)に就任したパウエルFRB議長は、金融規制に緩和の余地があるとしています。このため、今後は成長率が回復して、それに伴ってPERも上昇する可能性が考えられるでしょう。

証券アナリストが銘柄レポートで事業内容を詳細に検討するのは、成長性もさることながら、利益の安定性がどの程度なのかを説明するのが主な目的です。このような視点から、なぜこの銘柄にこのPERがついているのか、また、このPERはおかしいのではないかと検討することで、一段レベルの高い株式投資ができるのではないでしょうか。

 

 

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ここの重要な点は

  • EPS成長が高ければPERは高くなる。利益が安定していればPERは高くなる。逆にEPS成長が低く、利益の変動が高い業種はPERが低くなる。
  • 業種や銘柄によりPERに特徴がある。
  • 投資家のPER(利益成長性、安定性)の見直しにより投資家が利益を得られる可能性あり。

 

ジョーカーの保有銘柄について下のマトリックスで整理しました。アップルはPERの見直しによる株価上昇を期待しています。iPhoneという装置を販売するメーカーではなくiPhoneを中心としたデバイス保有者に対するサービスを提供する企業となればPERの上昇により株価も上昇すると考えられます。事実アップルのサービス部門の成長率は高く投資家のアップルに対する見方がかわることが将来的に起こるかもしれません。

 

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