今回はアマゾン(ティッカー:AMZN)を調査してみます。
ジョーカーも投資を検討している銘柄ですが100倍以上の高すぎるPERのため投資ができていません。しかし株価は絶好調で2018年も年初から3割弱のプラスリターンとなっています。ジョーカーの保有銘柄のほとんどがマイナス運用なのに対して好調なパフォーマンスとなっています。
アマゾンの売上、利益構成
事業内容は割愛します。皆お世話になってますからね。
アマゾンの財務諸表の抜粋です。セグメントとしては北米、北米外とAWS(クラウドサービス)に分かれています。
<売上の内訳>
<営業利益の内訳>
売上は北米、北米外、AWSともに増加傾向。AWSが収益の柱にようです。北米も利益プラスとなっています。この2つのセグメントで稼ぎ、北米外を開拓しているようです。
例えば、アマゾンプライムの月額を比較してみます。米国のアマゾンプライムは最近値上げを発表して月額12.99ドルとなっています。日本では月額400円で加入でき米国と比較して割安です。このコスト競争力を生かして会員数を増加させる戦略でしょう。
米国同様一定の会員数を確保してアマゾンなしでは生活できない環境を作ってからゆっくりと月額料金を上げていくものと思われます。
出品業者向けでは既に協力金というかたちでコストを転嫁するみたいです。アマゾンに出品する業者には大打撃ですがアマゾン経由の販売に頼らざるを得ない業者にとっては協力金を支払うしかありません。
財務データの分析
過去10年間の損益推移
アマゾンのすごいところは売上の成長もそうですが粗利率が上昇している点です。しかし営業利益率は横這い推移であることから売上成長に多くのコストをかけているものと考えます。
株式数と1株利益・FCFの推移
株式数は増加傾向、無配です。小規模な成長企業であるタイプですがアマゾンは規模が大きすぎます。この規模で売上をドンドン成長させていくアマゾンは競合からすれば怖すぎです。
株式数は増加していますが最近は1株利益、FCFは上昇傾向にあります。
営業CF・FCF・売上高FCF比率の推移
営業CFの成長も非常に強いです。FCFはそこまで伸びていないため、これからも稼いだキャッシュを投資に回していることが分かります。
インタレストカバレッジレシオ・ROE・ROICの推移
近年インタレストカバレッジレシオは低位で推移しています。これは注意が必要です。
ROEとROICは2010年頃まで高く優良企業並の水準で。しかし2011年から方針が変わったようで利益を犠牲にして成長投資を加速させているようです。
キャッシュフロー分析でも2011年から営業CFとFCFの差が大きくなっています。
過去10年間のバランスシート推移(パーセント表示)
<資産の部>
2017年はホールフーズ買収があり有形固定資産及び無形固定資産の比率が上昇しています。
<負債・純資産の部>
もっと借入があると思っていましたが以外と少ないという印象です。バランスシート上での借入比率は18.84%に対して現預金が23.6%あります。実質無借金ということです。
PER及びShiller PERの推移
現在のアマゾンのPERは243倍と非常に割高な水準です。これは利益の大半を投資にまわしているからです。
ちなみにPEGレシオ(PERを成長率で割った指標。1以下で割安、2以上で割高)でも4.47とと割高な数値です。
アマゾンの適正価格はいくらなのか
アマゾンはPERであったりPEGレシオでみた場合、投資することはできません。アマゾンは今までの投資の教科書で書いている指標を考慮して投資することは無理です。
アマゾンは巨大になりすぎており今まで通りの成長を期待することには無理があります。この場合、どこかのタイミングで売上の伸びが停滞してPERの水準が低下→株価が下落します。しかしアマゾンは株価が下落することはなく上がり続けています。
適正価格はいくらなのでしょうか。簡単な計算をしてみたいと思います。
過去10年でROEの最高値は2008年の33.3%です。この年はリーマンショックが起こった年でありアマゾンも慎重に対応した年だと考えます。つまり事業の再投資よりも資本の蓄積を優先させた年だと仮定します。
この最高値のROEから算出する2018年の純利益は92.2億ドル、EPSは18.7となります。これだけではアマゾンの成長を織り込んでいないので過去10年間のEPS成長率18.5%を加算します。すると2018年の予想EPSは22.1ドルとなります。
成長企業としてPERを30とすると適正株価は663ドルとなります。現在の株価水準との乖離が大きすぎます。
結論
ジョーカーの考えではアマゾンの価格は適正価格を大きく上回っています。アマゾンは間違いなく「堀」を有する企業ですが現在の価格では投資は控えたいと思います。
自分で納得できる水準ではありません。